大判例

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東京高等裁判所 昭和59年(ネ)1912号 判決

不動産取引において、往々、当該取引に基づく権利変動についての登記義務者(甲)が登記権利者(乙)に対し、その登記手続を本来の登記権利者(乙)又はその指定する第三者(丙)に対して執る旨をあらかじめ承諾する事例の存することは当裁判所に顕著であるが、かかる約定に際し交わされた関係書類により登記名義を直接取得した第三者(丙)が、元々の登記義務者(甲)に対する関係においてその登記名義の有効を主張するためには、右登記義務者(甲)があらかじめ右事例におけるような承諾をしていたことを主張立証するだけでは足りず、本来の登記権利者(乙)との間において、自ら(丙)が登記名義を取得したことを正当とするに足りる実体関係の変動(権原)の存在を主張立証しなければならないと解するのが相当である。けだし、このように解さないと、実体関係に符合しない登記名義の存在を許容することになって不動産登記法所定の制度の趣旨を著しく損なうことになるし、他方、右事例におけるような登記義務者(甲)の承諾は、当該不動産についての契約関係が、甲乙間から更には乙丙間というように順次重ねられ、当該不動産上の権利が輾転した場合に、甲から直接丙に当該登記手続を執ることをあらかじめ承諾する趣旨を示しているにすぎないものと解するのが相当だからである。

(後藤 奥平 橋本)

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